NITRO.blog 院内一の傾奇者

低悪性度非ホジキンリンパ腫と戦う漢二トロの足跡
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プロローグ前編

2006年6月は暑い日が続いていた。
 毎年、会社の健康診断がこの時期にあるのだが、30歳を迎えるので今回か
ら血液検査も追加ですることになった。痛いの嫌いだけど、こればっかりはしょうがない。

2006年7月
 健康診断の結果が来る。どうせ何も引っかかってないと思いながらも診断
結果に目を通す。
 ほら何もないじゃないか・・・あれ?血液の項目で何か書いてあるぞ。
<白血球多過>通常の人の数は3,500〜9,000程度らしいが、俺の数値は11,000。気になったのでネットで調べたら、体調が悪い時、体に炎症があった時5,000くらい簡単に上下するらしい。
 俺は外で働いているので日焼けもするし、最近は年齢からか日に当たるとすぐに皮膚炎を起こしてしまう。この結果も多分日焼けが原因なのかなぁと
思った。
 診断結果には<再検査せよ>と書いてあったので、とりあえず日差しが弱くなる9月頃に近くの病院に行けばいいだろうと俺は軽い気持ちでいた。

<その時、病魔は着実に俺の体を蝕んでいった>
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プロローグ中篇

2006年8月
 8月は非常に日差しも強く暑かった。毎日、眠る時は冷房をかけていた。
しかし、その冷房も壊れ、暑くて眠れぬ日が続く。寝汗もすごい量で、夜中
に着替えたりもした。
なんだか毎日体がダルイ。その時、俺は暑さのせいだと思っていた。くそ暑
い夏めっ、早く終わってくれ。
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プロローグ後編

2006年9月 運命の日が近づいてくる・・・

 9月になったので、予定通り俺は近くの病院へ血液検査に行った。
「まぁ大したことないと思いますが、血液検査もう一度やります?」と医者
がいう。俺も一時間くらい待たされ、この一言で診断終わるのもなんだった
ので血液検査をしてもらうことにした。結果は数日後にわかるそうだ。

数日後

 仕事から帰ると、「いますぐ来てくれ!!」と病院から電話がくる。
検査結果が大したことないなら病院から電話なんて来ないよな・・・・
{これは・・何かまずいことになっているのか?!}
不安になりながら病院へ行く。
「白血球が19.000を超えています」と医者がいう。さすがにこの数字を聞い
て、俺も驚いた。白血球が2倍近く増えてる。
「白血病ですか?」と俺は医者に尋ねてみた。
「いや、これは専門家でないと何ともいえません。ただ白血球が多いとい
うことで、まぁそんな重い病気ではないと思うんですが・・」
「紹介状を書きますので大病院で一度検査して下さい」
紹介状を渡され、一時呆然とした。
{俺はどうなるんだろうか・・・}
けれども、医者は「そんなに重い病気ではないと思うよ」って言ってたし
なぁ。まぁ大したこと無いだろうと未だ楽観視していた。
9月14日が休みだったので、14日に病院へ行く予定を立てた。
<運命の日2006年9月14日>
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プロローグ終編1

9月14日<運命の日>
 朝早くから大病院へ向かう。紹介状はあるのだが診察までにあちこちたら
い回しにされた。面倒くさいなぁ、どうせ何もありゃしねーのに。
名前を呼ばれたので診察が始まると思いきや「尿検査、血液検査しますね」
と看護婦から言われる。・・・また採血かよ、痛いの嫌いなのに。
採血から一時間が過ぎ、ついに名前を呼ばれる。
「ニトロヘッズさん診察室へお入りください」
診察室に入ると頭の良さそうな医者がいる。年齢は若く、いかにもエリート
って感じで、独特のオーラを放ってた。
医者:「ニトロヘッズさん今回採取した血液中の白血球の数は24,500
    です」
{何?!数日で5,000も増えたのか?!}
医者:「あなたの病気はウィルス性の感染症、白血病又はリンパ腫であ
    ると予想されますが、6月から今まで白血球が増殖しているので
    ウィルス性の感染症の線は薄いです、ですから白血病かリンパ
    腫の疑いがつよいですね」
白血病のことはある程度知っていたので、リンパ腫とはいったいどんな病気
か尋ねてみた。
医者:「簡単に説明しますと うんぬん・・・血液のガンですね」
{ガン?!俺の病気はガンなの?!}
医者:「治療方法は、抗がん剤を使った投薬治療と放射線治療です」
{ハゲるので有名な抗がん剤つかうの?!}
ニト:「このリンパ腫って病気は治るんですか?」
医者:「今は医療も進歩してまして直るものも沢山ありますので」
{治らないものもあるんだ・・・}
医者:「まだ予想段階なので病気を確定させるために明日から検査入院
    して下さい」
<この時、俺は初めて死を意識した>
診察後、直ちにCT検査、骨髄採取、再度血液採取を行うことになった。
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プロローグ終編2

 生まれて初めて本気で死を意識する。今までの人生が走馬灯のように流れ
た。人生を振り返った感想は・・・うん・・・ロクなことがない・・・。
仕事は6年我慢したけれども地元へ帰る希望も叶わず、私生活も崩壊(詳しくは書かない)しおまけに命まで捨てろとは・・・・。ここで死んだら俺はドブネズミ以下だろう。あまりに悲惨、あまりに惨め、全くロクでもない人生だったな、目も当てられない。そう思ったら目から涙がこぼれた。

 CT検査、骨髄検査、血液再検査の最中も目頭があつくなる。大き目のサ
ングラスをしていたので、他人には気付かれなかっただろう。検査の合間に
職場や友達に連絡を入れる、さすがに動揺は隠せなかった。

 家に戻り親に報告する。親も泣いていた・・報告する頃には俺も落ち着き
を取り戻していた。それを見た親曰く、俺は全く平気に見えていたらしい。
それは違う、平気なわけ無いだろう。冷静にならないと今後の対策を練れな
いじゃないか。
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覚悟のススメ

9月15日
 入院初日の朝を迎える。今日は採血と病院の説明が主である。料理長が遊
びに来てくれた、彼は中学時代の同期、病室にいるのも暇なのでR.Kさんが勤
める喫茶店へ行く、彼女も中学時代の同期である。入院初日に脱走してしま
った。
 喫茶店で楽しみ病院に戻る。来週まで何の検査もないので家に帰ることに
した。死ぬかもしれん、死ぬかもしれん、死ぬかもしれん・・考えてもしょ
うがない。全てを受け止めるしかない。しかし、どうしても色々考えてしま
う。生きる死ぬは別として、こんな大病にかかってしまい社会的には抹殺さ
れたであろう、仕事や結婚等に超えられそうもない巨大な壁ができたであろ
う。あぁ、どうしても色々考えてしまう。どうしても考えてしまうなら、い
っそのこと考え尽くしてしまえ!あらゆる角度から今の自分の立場を考えて
みる。来たるべき困難を予想してみる・・来るとわかれば不安も無くなる。
 死を覚悟したとき、人は何を思い考えるんだろう。俺が思ったのは<俺は
この世に何を残したのか>ということ。金で買えるモノは無論関係ないし、
会社での成績も関係ない(自分で会社を立ち上げたら別だろうが)目に見え
ない何か<友情>とか・・でもないな。普通に人生送っていたら、友達くら
いいるだろう。俺が一番心に思ったのは家族だ。結婚して子供がいて、奥さ
んが泣く、こんなフィナーレなら素晴らしかっただろうな。愛情という目に
見えないものと目に見える家族たち。これこそが人生で何かをしたっていう
唯一の証なんじゃないか?家族をもてなかったことを残念に思う。

<覚悟はできた>

 さて、覚悟はできたし最悪の結果も念頭におき、今から何をすべきか・・
あった!!至急やらねばならないことがあった。
それは、エロ本関係を処分すること。男なら必ず何かもってるでしょ?
男性諸君、病気にでもなったら同じこと考えるんじゃないか?!調べてみる
と、いやぁ結構な量ある、本もそうだがVHSをどう処分すべきか・・。
ここでは書かないが、非常に苦労したよ。結局、全ての処分に3日を要した。
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可愛い見舞い客

9月17日
 本日お見舞いにてくださったのは、女友達のR.OさんとM.Hさん。
M.Hさんは、頭を非常に使う会社で働いており色々教えてもらった。白血病と
診断されたら、特別な手続きを踏めば医療費を月々1,000円の出費だけで抑
えることができる等、非常に有益な情報だ。
 お見舞いには本を頂いた。シドニィ・シェルダンとダ・ヴィンチ・コード等。
なかなかセンスが宜しいようで、病院生活も楽しめそうだ。
 晩飯は、昔から行きたかった亀O食堂へ行った。晩御飯にはM.Hさんの子供
も一緒だ。すごい俺になついてくれてプチパパの気分だ、お父さんの役をや
りたかったなぁ。
 亀O食堂、この店は基本的には焼肉のような感じで味噌と肉、キャベツを
一緒に鉄板で炒める。その後、残り汁で焼きうどんをする。この焼きうどん
がこの店の一番人気だ。また元気になったら訪れたいな。
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BBQ

9月18日
 病気のくせにBBQへ行く。正直疲れてるんだが何かしてないと心が萎え
てくる。BBQのメンバーは主に中学の同期だ。BBQの行き先までハーレ
ーで行く、後ろにR.Kさんを乗せて。
R.Kさんのオッパイが背中にあたる・・ムフフ。本来なら、このBBQで新しい相手を探す予定だったのだが、こんな大病を患ってしまって・・そんな気
分には到底なれない。でも、いっぱいはしゃいで楽しかったよ。

<自分の砂時計が見え始めた俺には一日一日が大切な時間>
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カルテをコソッと覗いてみる

9月19日
 今日の採血数値は22,200、依然数値は高い。自分のカルテがあったのでコ
ソッと覗いてみた。見なきゃよかった・・病名の欄は以下の通り
EBウィルス肝炎
サイトメガロウィルス感染症
重症貧血症
自己免疫性溶血
慢性リンパ性L
播種性血管内凝固症候群
Mリンパ腫の疑い
多発性骨髄腫の疑い
こんだけ書かれると病気の総合商社ですわ。

 後日、聞いた話では、ここに書いた病気のどれかに該当するであろうと。
つまり、可能性のある病気を網羅してあるみたいだ。

 今日は突然Oさんが見舞いにきてくれた。Oさんから俺は結構気に入られ
てたみたいで、病気を聞いて飛んで来てくれたようだ。体に良い食べ物など
アドバイスを受けた。Oさんは、知り合いから俺の病気の情報を聞いて回っ
ていたようだった。Oさんの心使いに感謝した。喫茶店にも連れてってもらって・・コーヒーうめぇ。

 Oさんが帰った後、R.Kさんが遊びに来てくれた。喫茶店のコーヒーをその
ままに持ってきてくれた。彼女は喫茶店に勤めているのだ、本物は美味い。
R.K
 病室で色々楽しい時間を過ごしていたら看護婦さんがきた。
看護:「明日、検査のために股のリンパ腺を採る手術をします。今から毛を
    剃りますね」
{え?!今から?・・女友達おるのに?}
R.K :「私外へ出てたほうがいいですか?」
看護:「別に、どちらでも構いませんよ」
R.K :「ならいます」
{はぁ?マジで?それジョークなら最上級だけど}
看護:「はーい、パンツ脱いで下さい」
俺はアソコを隠す為、巧みにタオルを操った。大事な毛を全部は剃られなか
ったが、両股付け根に剃り込みをいれられた。剃り込み跡は、歩くと擦れて
意外と痛かった。
 腹が減ったので外食へ行く。もちろん脱走ですw途中T.K氏も見舞いに来てくれたので、3人で食事に行った。皆のおかげで、今日も一日楽しく過ごせ
た。
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検査の中間報告とプチ手術(股のリンパ線採取)

9月20日
 今日は医者から検査の中間報告を受ける。希望を胸に、とりあえず聞いて
みることにした。
ニト:「全く病気じゃ無いということはありえますか?」
医者:「90%〜95%の確率でアウトです。」
うーん、正直だ。
医者:「まだ確定ではないですが、低悪性度非ホジキンリンパ腫の可能性が
    高いです。ステージは恐らく第4期。この病気は完治は難しいです。
    寛解といってリンパ腫が悪さしないように押さえつけた状態にもっ
    ていくことが理想です。
     治療方法は放射線治療と投薬治療で、最初の段階は抗がん剤を用
    い、次にリッキサンを投与します。リッキサンはネズミから作った
    たんぱく質で特定の細胞を攻撃します。この方法は最近用いられる
    ようになったのでデータはまだ出ませんが、かなりの効果が期待さ
    れております。
     もう一つの方法として骨髄移植もあります、この場合、完治はし
    ますが、拒絶反応があると命にかかわりますので今の段階では行い
    ません。寛解の後、再発した時に検討します。」
えー、骨髄移植?TVのドラマのような展開だなぁ。
医者:「来週中には病名を特定できます、検査を終了させて総合して吟味し
    ます」

 検査入院の段取りを説明しよう。
採血→骨髄採取→レントゲン→CT→リンパ腺→胃カメラ
一通り終了すると確定診断、つまり病名がきまるわけだ。今日はリンパ腺採
取の段階でいるでちょいと体を切るらしい。プチ手術と聞いていたので気軽
に考えていたが、手術台に上るとそうもいってられない。注射器は何本も並
び、点滴も置いてある。
{どこがプチ手術なんだろうか}
注射器を左股に打たれる、正直痛い。また注射器を左股に打たれる、もぅ痛
いなぁ。麻酔が効いてきてメスが入る。そのあと皮を引っ張って固定する器具をはめるのだが、それが気持ち悪い。麻酔は効いているのだが引っ張られ
る感覚までは無くならない。
 突然、左太もも全体に電撃が走った。
あまりにビックリしたので何をしているのか尋ねてみることにした。
ニト:「今びりびりっと電気が走ったんですが何をしてるんですか?」
医者:「今肉をレーザーで焼いているんだよ」
{焼き加減はウェルダンですか・・}
手術の最中に屁をしたくなった、我慢できない。
ニト:「スカッドミサイルを発射してもよろしいですか?」
医者:「え?何をしたいって?」
ニト:「いえ、屁がでそうなんですけど出していいですか?」
医者:「全然、かまいませんよ」
ならば、お見舞いしてやろう、超弩級の臭さを・・
しばし沈黙がながれる。
執刀医の補助役の人があまりの臭さに笑い出した。
{そりゃそうだ、朝から超臭かったもん}
手術終了までに合計4回発射した。

 手術が終わり病室に戻ると、差し入れのお弁当が置いてあった。
ついに・・ついに来たか料理長(あだ名)。料理長は和食界の雄で、作る料
理は驚くほど美味い。
料理長の弁当
 飯も食べ、暇になったのでブラブラしてたら、看護婦さんに注意された。
「そんなに歩き回ってると中身が出てしまいますよ」直ちに車椅子に跨っ
たのはいうまでもない。
 晩にRさんとK氏が見舞いに来てくれた。
病室ではロクに話もできないので、K氏に車椅子を押してもらい近くのコ
メダ(喫茶店)に行く、腹切ったばかりなのに脱走かよ。
楽しいひとときを過ごしたいのだが、看護婦さんの一言が頭をよぎる。
<中身が出てしまいますよ>
10分おきにジャージーを下着を下げ、股間を覗く。今思うと、他人から見た
俺は変態そのものだっただろう。
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